残りの一人は、クジで決める事になった。
紙クジだ。それを順番にみんな取っていく。
こういうのをクジで決めるのはどうかと思うけど、
決まらないんじゃ仕様がない。
それに先生も黙ったまんま。
私が「気弱な臆病亜希」と呼ばれているにも関わらず、
何も口出してこない。それが少しだけ悲しかった。
「あ、俺だ」
どうやら、クジで学級委員になったのは男子のようだった。
「うわー。最悪」
誰になったんだろうと思い、後ろを振り返ると、
クジの紙を見つめ、立ち上がった今川の姿が目に飛び込んだ。
「人に押し付けようとするからだよー」
声を出して笑う新田を、今川は嫌そうな目で見つめた後、
彼は黒板の方に足を向けた。
「先生、決まったよ」
そこでやっと先生は口を開く。
「お疲れ様」
笑うこともしない、この男性教師。
名前は陸奥郁郎。年齢は忘れたが、確か四十代後半。
顔の皺が実年齢を語っている。
今川は、クジの紙切れをゴミ箱に捨てると、
私に向かってわざとらしい笑みを浮かべた。
「よろしくね、臆病亜希」
私はなんだか怖くなって、何も言い返せなかった。
どうしてよりによって、彼と学級委員をやらなければ
ならないんだろう。これならまだ、一人でやる方がマシだ。
神様はどうかしている。